運転免許の限定解除とは
運転免許の限定解除とは、取得済みの自動車・バイク免許にかけられた制限を解除することを指します。一般的には、AT限定免許の限定解除が挙げられます。通常、AT限定免許ではオートマチック（AT）車のみ運転できますが、限定解除することでマニュアル（MT）車も運転できるようになります。
また、視力が改善した場合にも限定解除が可能です。例えば、レーシックなどの手術で視力が回復した場合、「眼鏡等」の条件を解除することができます。
限定解除する免許の種類と取得条件
AT限定免許（自動車・バイク）
限定免許の中で最も多く見られるのがAT限定免許です。免許証に「AT車に限る」と記載があり、自動車・バイクともに適用されます。限定解除することで、AT車に加えてMT車の運転が可能になります。取得条件は、免許の種類に合わせた受験資格や身体条件に基づきます。
準中型自動車免許5t 限定
準中型自動車免許5t限定は、2017年3月12日に道路交通法の一部改正により新たに設けられた区分です。2007年6月2日から2017年3月11日までの間に普通自動車免許を取得し、その後更新した方には「準中型車は準中型車（5t）に限る」という条件が付与されます。
この免許で運転できる車両は、車両総重量5t未満・最大積載量3t未満・乗車定員10名以下です。限定解除を行うと、車両総重量7.5t未満・最大積載量4.5t未満・乗車定員10名以下の車両を運転できるようになります。
取得条件としては、準中型自動車免許に変更されることで、必要な視力条件と深視力の検査が追加されます。視力に自信がない方は、事前に眼科で確認しておくとよいでしょう。
中型自動車免許8t 限定
中型自動車免許8t限定は、2007年6月2日に道路交通法の一部改正により新たに設けられた区分です。2007年6月1日までに普通自動車免許を取得し、その後更新した方には、「中型車は中型車（8t）に限る」という条件が付与されます。
この免許では、車両総重量8t未満・最大積載量5t未満・乗車定員10名以下の車両を運転することが可能です。限定解除を行うと、車両総重量11t未満・最大積載量6.5t未満・乗車定員11〜29名以下の車両を運転できるようになります。
取得条件は、準中型自動車免許5t限定と同様に、中型自動車免許に変更されることで必要な視力条件と深視力の検査が追加されます。
具体的な条件は以下の通りです。
- 視力条件：両眼の視力が0.8以上、かつ左右それぞれの視力が0.5以上。
- 深視力：三桿法の検査器で2.5mの距離を3回検査し、平均誤差が2cm以下。
自衛隊車両限定大型自動車免許、カタピラ車限定／農耕車限定大型特殊自動車免許
日常生活では目にする機会が少ないかもしれませんが、自衛隊車両限定大型自動車免許、カタピラ車限定大型特殊自動車免許、農耕車限定大型特殊自動車免許などの限定免許があります。自衛隊車両限定大型自動車免許を限定解除すると、車両総重量11t以上・最大積載量6.5t以上・乗車定員30人以上の車両を運転できるようになります。
またカタピラ車限定大型特殊自動車免許および農耕車限定大型特殊自動車免許を限定解除すると、全長12m以下・全幅2.5m以下・全高3.8m以下の特殊車両、小型特殊自動車、原付を運転できるようになります。
眼鏡等
運転免許の取得には、一定以上の視力が必要です。裸眼で基準値に満たない場合でも、眼鏡やコンタクトレンズの使用により「眼鏡等」の条件付きで運転することができます。
レーシック等で視力が回復した場合は、「眼鏡等」の解除審査を受けることが可能です。ただし、角膜矯正用コンタクトレンズなどによる一時的な回復では、限定解除はできません。
限定解除の方法は？
限定解除する方法は、大きく分けて「指定自動車教習所に通う」「一発試験を受ける」の2通りがあります。「眼鏡等」を限定解除する方法も別途存在します。
指定教習所に通う場合、取得する運転免許の種類により、限定解除には約3〜6日を要します。一発試験で技能審査や視力検査に合格すれば、即日で免許の交付が可能です。
指定自動車教習所に通う場合
指定教習所に通う場合、技能教習の受講が必要です。技能教習をすべて終えると教習所内で技能審査が行われ、合格すると「技能審査合格証明書」を取得できます。その後、住所地の運転免許試験場で手続きを済ませると、新たな免許証が交付されます。
一発試験を受ける場合
一発試験は、直接運転免許試験場で限定解除の審査を受けます。合格すれば即日で新たな免許が交付されます。指定教習所に通う場合と比べて、かかる日数や費用は少なく済みますが、難易度は高いと言われています。
「眼鏡等」を限定解除する場合
眼鏡等の限定解除も一発試験と同様、運転免許試験場で直接視力検査を受けます。各運転免許の基準値をクリアしていれば限定解除が完了します。一部の地域では警察署でも手続きが行えるので、確認してみましょう。
転免許の限定解除をするメリット
制限なく車を選択できる
AT限定免許は、国内のほとんどの乗用車で使用可能ですが、MT車は運転できません。限定解除することで、車種を気にせずにすべての乗用車を選択できます。例えば、古いデザインの車に興味があったり、海外で運転する機会がある方にとって、AT限定解除は大いにメリットがあります。
就職時や給料面で有利になる
建設業の施工管理士や運送業の大型トラックドライバーなど、特殊な職業への就職を検討している方にとって、限定解除は給与面でもメリットがあります。MT車しかない企業や、就職の応募条件に限定解除された運転免許を求める場合もあります。さらに、手当や昇進のきっかけになる可能性もあるため、自分のライフワークに合わせて検討してみましょう。
まとめ
限定免許は運転免許を取得したタイミングなどで細かく定められています。AT限定免許は、国内での生活圏内であれば事足りる場合がほとんどです。眼鏡等の条件は、治療により視力が完全に回復した場合に限定解除が受けられます。
限定解除の必要性は、現状の生活や仕事面、こだわりのある方などに限られます。限定解除を行うことでご自身の向上に繋がる場合はぜひ取り組んでみましょう。
