仕事の都合や転職など、さまざまな都合やキャリアアップのために運転免許を取得しようとしたときに気になるのが免許取得費用です。今回は、運転免許の取得費用の一部が還付される「教育訓練給付金制度」について解説します。教育訓練給付金制度で取得できる運転免許の種類、制度の対象となる人の条件、申請方法などについて気になっている方や調べている方は参考にしてみてください。
目次
「教育訓練給付金制度」とは
キャリアアップ支援制度の「教育訓練給付金制度」は、運転免許、介護福祉士、調理師、中小企業診断士など、専門性の高い資格を取得する際にかかる費用の一部をハローワークが支援してくれる制度です。
仕事で免許が必要になったときや資格を取得しなければならなくなったときに「教育訓練給付金制度」を利用すると、資格取得にかかる費用の一部が還付されます。
ただし、制度の対象となる人は、以下の条件のいずれかを満たしている人となります。
【1】雇用保険の一般被保険者等
【2】雇用保険の一般被保険者等であった方
上記のいずれかの条件を満たしていない場合、制度の対象とならないため、注意しなければなりません。もし、自分が該当しているか分からない場合は、ハローワークに相談してみましょう。
取得する状況によって適用される給付金制度が異なる!
教育訓練給付金制度を利用する際は、事前に制度の対象となる運転免許の取得となるか確認しましょう。
教育訓練給付金制度を利用して運転免許を取得する場合、以下の2種類に分類されるため、最初にどちらのタイプに属するか確認してください。
◆一般教育訓練給付
◆特定一般教育訓練給付
それぞれの違いは以下のとおりです。
【一般教育訓練給付金】
雇用の安定や就職の促進を支援するため、一定の条件を満たす雇用保険の一般被保険者等(在職者)または一般被保険者等であったかた(離職者)が受けられる給付金制度です。厚生労働大臣が指定する一般教育訓練を受講し、修了した場合、本人が支払った教育訓練経費の20%(上限10万円)がハローワークから支給されます。
▼一般教育訓練給付の免許
- 大型自動車第一種免許
- 大型自動車第二種免許
- 大型特殊自動車免許
- けん引免許
- 準中型自動車免許
- 中型自動車第一種免許
- 中型自動車第二種免許
- 普通自動車第二種免許
【特定一般教育訓練給付金】
労働者の速やかな再就職や早期のキャリア形成に役立つ講座が対象となる給付金制度です。受講費用の40%(上限20万円)が訓練修了後に支給されます。
▼特定一般教育訓練給付の免許
- 大型自動車第一種免許
- 大型自動車第二種免許
- 大型特殊自動車免許
- けん引免許
- 準中型自動車第一種免許
- 中型自動車第一種免許
- 中型自動車第二種免許
- 普通自動車第二種免許
取得できる免許の種類はほぼ同じであるものの、給付金の上限が異なります。どちらの給付金を受けるかによって申請の手順が異なるため、注意しましょう。
教育訓練給付金制度の申請方法
教育訓練給付金制度の申請方法は、一般教育訓練給付と特定一般教育訓練給付で異なります。ここでは、それぞれの手順を解説します。
一般教育訓練給付
- 制度の対象となる免許の取得か確認する
- 教習所に通って免許を取得する
- ハローワークに支給申請をする
- ハローワークから給付金の支給
【注意点】
◆修了日から1ヶ月以内にハローワークに支給申請する
◆必要書類
- 教育訓練給付金支給申請書
- 教育訓練修了証明書
- 領収書
- 本人・住所確認書類及び個人番号(マイナンバー)確認書類
- 返還金明細書(「領収書」、「クレジット契約証明書」が発行された後で教育訓練経費の一部が教育訓練施設から本人に対して、還付された(される)場合に必要)
- 払渡希望金融機関の通帳またはキャッシュカード
- 教育訓練経費等確認書(来所申請の場合は通信制の教育訓練を受ける場合のみ。代理人、郵送または電子申請の場合は必須。)
◆原則として最初に費用のすべてを自己負担し、支給申請することで費用の一部が還付される制度です。
特定一般教育訓練給付
- ハローワークに受給資格確認をする(受講開始日2週間前までに行う)
- 教習所に通って免許を取得する
- ハローワークに支給申請する
- ハローワークから給付金が支給される
【注意点】
◆事前申請:受講開始日の1ヶ月前までにジョブカードの交付を受け、下記の書類をハローワークへ提出する
- 教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票
- ジョブカード(訓練前キャリアコンサルティングでの発行から1年以内のもの)
- 本人・住居所確認書類及び個人番号(マイナンバー)確認書類
- 払渡希望金融機関の通帳またはキャッシュカード
- 専門実践教育訓練給付および特定一般教育訓練給付再受給時報告
◆支給申請:受講中及び受講修了後、原則として本人の住居所を管轄するハローワークに対しハローワークに下記の書類を提出
- 受給資格確認通知書
- 教育訓練給付金支給申請書
- 教育訓練修了証明書
- 領収書
- 返還金明細書(「領収書」、「クレジット契約証明書」が発行された後で教育訓練経費の一部が教育訓練施設から本人に対して、還付された(される)場合に必要)
- 特定一般教育訓練給付受給時報告書
◆支給申請は教育訓練の受講修了日の翌日から起算して1ヶ月以内
◆原則として最初に費用のすべてを自己負担し、支給申請することで費用の一部が還付される制度です。
教育訓練給付金制度に関する相談はどこにする?
ここまで教育訓練給付金について解説してきましたが、不明点があったり、どちらの給付金制度を利用できるのか分からなかったりする方もいるのではないでしょうか。もし教育訓練給付金について分からないことがあるときは、管轄のハローワークに給付金制度の対象となるのか相談してみましょう。
また取得しようとしている免許が給付金制度の対象となっているか調べるときは、厚生労働省のホームページで確認することをおすすめします。
ここまで解説した内容などから給付金制度の対象になるだろうと思い込み、申請しようとしたときに適用されないという事態にならないようにするためにも、事前に給付金制度の対象となるのか、どこの教習所なら制度を利用できるかなど入念に調べたりハローワークに相談したりしてください。事前確認をせずに教習を受け始めてしまい、後に給付金制度の対象でないとわかった場合、費用が全額自己負担となってしまいます。
条件に当てはまる教育訓練給付金制度の利用を検討しよう
運転免許の取得には多額の費用がかかります。仕事の都合で運転免許が必要であるものの、会社の決まりなどにより実費で運転免許を取得しなければならないときは、教育訓練給付金制度の適用を受けられるか確認してみることをおすすめします。
なお、ここまで解説してきた教育訓練給付金制度は、基本的に費用のすべてを一時的に自己負担し、後にハローワークに申請することで費用の一部が還付される制度です。前もって給付金が給付される制度ではないため注意してください。給付金制度について調べたり相談したりして、制度の適用を受けられることがわかった場合は、教習修了後にハローワークに給付金の支給申請をして費用の一部の還付を受けましょう。
あなたもこの記事で解説していた内容を参考に、給付金制度の適用を受けて運転免許を取得し、キャリアアップを目指してみてはいかがでしょうか。