運転中に緊急事態に遭遇する可能性はゼロではありません。車を運転していたり道路を通行していたりしているときに交通事故、体調不良、道路の損壊など、さまざまな緊急事態が発生する可能性があります。この記事では、車を運転しているときに緊急事態が発生した場合の対処方法について解説します。もしものときに役立つ内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
運転中に遭遇する可能性がある緊急事態とは?
運転中に遭遇する緊急事態には、交通事故や道路の損壊、体調不良や車の故障などがあります。また、緊急事態が発生している現場に向かう緊急車両(救急車や消防車、警察車両など)に遭遇することもあるでしょう。ここからは、緊急事態別の対応方法について解説します。万が一のときのために覚えておきましょう。
緊急自動車が通行する場合
車を運転しているとき、緊急事態が発生している現場に向かう救急車や消防車、警察車両など、緊急自動車に遭遇することがあります。
運転中に緊急自動車が近づいてきたときは、交差点付近では交差点を避け、道路の左側に寄り、一時停止して譲るのが基本です。ただし、一方通行の道路で左側に寄って一時停止したときに緊急自動車の通行の妨げとなる場合は右側に寄って一時停止します。
なお、実際の交通現場では、走行または停止している場所や通行帯、交通状況などによって車を寄せる方向や譲り方が変わるため、臨機応変に対応する必要があります。緊急自動車が近づいてきたときは、どちらの方面から近づいてきているのか目と耳で確かめ、その場に応じた対応をしてください。
交通事故の場合
運転中に交通事故が発生したり、交通事故の現場に居合わせたりしてしまうこともあるでしょう。
交通事故が発生したときは、安全な場所に車を停め、負傷者がいるか確認します。負傷者がいる場合はただちに応急救護措置を行い、同時に119番通報とAEDの手配をしてください。このとき、負傷者をむやみに動かさないようにしてください。ただし、二次事故が発生する可能性がある場合は、負傷者を救出し、安全な場所に移動させてから応急救護措置をします。
もし、応急処置措置の方法がわからないときは、すぐに119番通報し、負傷者がいることや負傷者の状態を伝えてください。負傷者の状態を伝えると、どのような方法で応急処置をすればよいか電話越しに教えてくれます。また、110番通報して警察に事故の届け出もしなければなりません。さらに、自動車保険に加入している場合は、保険会社に連絡して、その後の対応を確認する必要があります。
交通事故が発生したときの対応手順をまとめると次のようになります。
- 安全な場所に車を停める
- 負傷者の確認(負傷者がいる場合は応急救護措置を行い、119番通報およびAEDの手配をする。ただし、応急処置措置の方法がわからないときは、すぐに119番通報して電話越しに救護の方法を教えてもらう)
- 110番通報(警察への届け出)
- 加入している保険会社に連絡
もし、交通事故が発生した現場に居合わせた場合、119番通報・110番通報、AEDの手配などを積極的に行いましょう。また、応急処置措置の1つとして広く知られている胸骨圧迫(心臓マッサージ)が必要な負傷者がいる場合は、複数人で交代しながら行うことをおすすめします。
胸骨圧迫は、わずか数分でも非常に体力を使います。そのため、複数名で交代しながら胸骨圧迫を行い、救急隊が到着し、指示があるまで続けるようにしてください。一人でも多くの命を救うためには、一人でも多くの人の協力が必要です。
加えて、本来であれば事故の当事者が負傷者の救護をしなければなりませんが、事故の当事者は気が動転してしまい冷静な対処ができない可能性があります。このようなときに必要となるのが、その場に居合わせた人たちの協力です。交通事故の現場に遭遇したときは、交通状況にもよりますが、見て見ぬふりをするのではなく、「救急車の手配や警察への通報はしましたか?」や「負傷者はいませんか?もし、いるようであれば応急処置してますか?」などと一言声をかけるとよいでしょう。
声をかけたときに助けが必要と言われた場合は、応急処置措置や通報などを行いましょう。
体調不良の場合
運転中に運転者や同乗者の体調が急に悪くなるという緊急事態に遭遇することもあるでしょう。
運転者または同乗者の体調が悪くなったときは、駐車場がある場所に入り休憩しましょう。また、運転が継続できないほど体調が悪化した場合には、その場で救急車を呼んでください。
高速道路上で体調が優れないと感じたときは、早めにSA・PAに入り休憩しましょう。サービスエリアによっては救護室を用意しているところがあります。
また、車酔いや食後の体調不良などサービスエリアで体調が悪化したときはエリア・コンシェルジュまたはスタッフに声をかけ、その後の対応について相談しましょう。エリア・コンシェルジュやスタッフに相談すると、近くの病院を紹介してもらえたり、救急車を手配してもらえたりします。なお、エリア・コンシェルジュの案内時間外は、119番通報して直接救急車を呼んでください。
運転中に体調が悪くなることはやむを得ないことではありますが、体調不良にならないよう、日頃から体調管理に気をつかい、食事や睡眠をしっかりとり、運転中に体調を崩さないようにするのが運転者としての責任です。
また、過度に疲労した状態で運転するのは、交通違反となります。あまりにも疲れているときや運転ができない状態になるほど体力を使ったときなどは、無理に運転せず、一休みしてから運転するなど工夫しましょう。
道路や道路の設置物が損壊している場合
道路や道路上の設置物などが損壊していたり、落下物や逆走車を見つけたりしたときは、道路緊急ダイヤル「#9910」に通報しましょう。
道路緊急ダイヤルでは、道路上の落下物、逆走車、人や自転車等の高速道路への立ち入り、路肩の崩壊、路面の破損など、車の通行に影響する道路の異状や緊急事態の通報を24時間受け付けています。
電話番号は全国共通「#9910」で、通話料は無料です。道路に異変を見つけたときは、速やかに通報し、対処してもらいましょう。あなたの勇気ある通報が事故防止につながる可能性があります。
車の故障やトラブルの場合
パンクや警告灯の点灯など、車の故障やトラブルが発生したときは、速やかに安全な場所に車を停め、症状に応じた対処をしましょう。
その場で対処できない場合や対処の方法がわからないときは、ロードサービスを手配し、応急処置を行ったりレッカー移動したりしてください。
自力で直そうとして長時間立ち往生してしまうと事故に巻き込まれる危険性が高くなるだけでなく、交通渋滞の原因にもなります。
運転中に車の故障やトラブルを発生させないようにするための方法は、日頃の点検やメンテナンスです。運転者の責任において行う「日常点検」、1年ごとに受ける「法定点検(12ヶ月点検)」、定期的に行う検査の「車検」は、欠かさずに実施し、必要に応じて部品交換や液剤の補充などをしておきましょう。
緊急事態の内容によって対処は異なる
走行中に遭遇する可能性がある緊急事態には、さまざまな種類があり、それぞれ対処および対応方法が異なります。もしもの事態が発生したときに適切な対処ができるよう、この記事で紹介した対処および対応方法は覚えておきましょう。
また、記事内で紹介した緊急事態の当事者にならないよう、日頃から体調管理や車の点検を行い、運転するときは万全な状態でハンドルを握り、周囲の交通への目配りや気配りをしながら、安全運転するようにしてください。