中型自動車の運転免許を取得すると、最大積載量の多いトラックやマイクロバスなどの運転ができるようになるため、さまざまな場面で活躍することができます。また、就職や転職に有利になることもあるでしょう。そのため、中型自動車の運転免許を取得しておこうと考えている方も少なくないのではないでしょうか。
この記事では、中型自動車の運転免許を取得する際に知っておきたいことや効果的な練習などについて解説します。これから中型免許を取得しようとしている方だけでなく、現在中型免許の取得に向けて練習している方や久しぶりに中型自動車に乗ろうとしている方も参考にしてみてください。
目次
中型自動車ならではの特徴を理解する
中型自動車を運転する際は、中型自動車ならではの車両の大きさやオーバーハングなどを理解しておく必要があります。
中型自動車は、普通車(いわゆる乗用車)と比べると全長が長く、全幅が広いです。また、後タイヤより外側に出ているオーバーハングも長くなっています。しかし、キャブオーバー構造のトラックなどでは、フロントオーバーハングがそれほど長くない場合もあります。
一方で、リアオーバーハングは長くなる傾向があり、特に後退時や狭い道での取り回しに注意が必要です。また、運転者の位置は前輪の上または前方にあるため、視覚的な感覚が普通車とは異なります。このような特徴を理解し、特にリアオーバーハングに注意を払いながら操作することが、中型自動車の安全な運転に重要です。
これらの違いを理解した上で運転操作や操作の時期を見極める必要があるため、普通車と中型自動車では異なる運転技術が求められるのです。
車の死角で見えない部分を理解する
中型自動車の教習では、普通車の教習と同じ「狭路の通行」や「方向変換」などの課題に加え、「隘路(あいろ)への進入」や「路端における停車及び発進」といった課題があります。これらの課題は、車の死角となる部分の理解や車両の大きさ及び車両の特性に応じた車の動きの理解が求められる課題です。
普通免許の課題にもあり、中型免許の課題でもある狭路の通行では、車の死角となる部分の道路形状の把握や道とタイヤの位置関係を理解しておく必要があります。死角部分の把握やタイヤの位置をしっかりと理解しておかなければ、縁石に乗り上げたり脱輪したりしてしまうため、運転席から道路の形状や障害物が見えなくなる前に、自車とタイヤと道の位置関係を把握しておきましょう。
隘路への進入、方向変換、路端における停車及び発進など、中型自動車以上の自動車の運転免許を取得する際の課題では、死角となる部分の道路形状と、タイヤと道の位置関係に加え、車体の大きさやオーバーハングを理解した運転操作及び車両感覚が必要です。車体の大きさやオーバーハングを理解せずに運転してしまうと、ポールなどに接触してしまいます。試験ではポールなどに接触した時点で中止です。つまり一発アウトです。ポールなどに接触しないよう、前後左右の車両感覚を練習中に身に着けておきましょう。
中型自動車の運転免許の課題の多くは、車の死角部分との戦いになるともいえます。そのため、運転席から道や目標物が見えなくなる前に、道路の形状や障害物などを見つけておく必要があるということです。また、運転席から見えなくなった部分とタイヤの位置関係を理解し、タイミングよくハンドル操作を行う必要があります。そのため、中型自動車では、普通車以上に前後左右の感覚、タイヤの位置、運転者とタイヤ位置の関係などの空間把握能力が必要となるのです。
中型自動車の運転免許を取得する際の課題について
中型自動車の運転免許を取得する際には、普通免許を取得する際になかった課題をクリアしなければなりません。ここでは、中型自動車の運転免許を取得する際の主な課題の内容について紹介します。
■隘路(あいろ)への進入:車両感覚を理解して一定の場所に車両を誘導させることができる。
◆ポイント
- 誘導コースの捉え方
- 視点の配り方、視野のとり方
- 車両感覚の捉え方と走行位置のとり方
- 進路のとり方と修正の仕方
■路端における停車及び発進:路端に沿った停車及びリアオーバーハングの振り出しに注意した発進ができる。
◆ポイント
- リアオーバーハングに注意しながらハンドルを操作する。
これらの課題は簡単そうに見えますが、実際に行ってみると想像以上に難しい課題です。中型自動車の運転では、オーバーハングを含めた車両感覚などがポイントとなるため、しっかりと練習中に車両感覚を身につけましょう。
タイヤの位置と車体の大きさの把握がコツ
中型自動車を運転するときに重要なポイントとなるのは、タイヤの位置です。多くの車は前輪が向きを変えることで方向を変えます。そのため、前輪の位置と後輪の位置をしっかりと把握しておくと、カーブや交差点、各課題の通行がしやすくなるでしょう。
また、中型自動車は、タイヤの位置や車体の大きさが普通車と異なります。そのため、ハンドルを切り始めるタイミングを誤ると、前輪や後輪が脱輪したりしてしまうことがあります。つまり、普通車感覚で、普通車と同じタイミングでハンドル操作を始めると、タイヤの向きは進行方向に向いているものの、時期が早いために脱輪してしまうということです。
さらに、中型自動車は、普通車よりオーバーハングが長いため(特にリアオーバーハング)、普通車と同じ感覚でハンドル操作をすると、オーバーハング部分が車線をはみ出したり障害物に接触したりします。このような違いもあることから、中型自動車の運転では、右左折時にリアオーバーハング部分の確認をする必要があるのです。もちろん、振り出しの確認をしなかった場合、試験では減点対象となります。よって、中型自動車を運転する際は、進行方向の確認や巻き込みの確認だけでなく、リアオーバーハングによる振り出し部分の確認もしなければなりません。
運転席からの見え方の違い
中型自動車は、運転席からの見え方にも違いがあるため、速度感覚や前方との車間距離にも注意しなければなりません。中型自動車は普通車より着座位置が高く、見下ろすような形で運転することになります。そのため、普通車よりも速度が遅く感じやすく、前方の車両との間隔が詰まり気味になりやすいという特性があります。
そのため、普通車と同じ感覚で走行すると、速度超過や車間距離不保持の違反になる可能性が高くなるということです。乗用車と同じ感覚で運転してはならないということを理解しておく必要があります。
車両特性に応じた運転が中型免許取得のポイント
中型自動車は、普通車と比べると、ボディサイズやオーバーハングの長さ、運転者とタイヤ位置の関係など、さまざまな点が異なる乗り物です。このような中型自動車ならではの特性を理解して運転しなければ、中型免許の取得は難しいといえるでしょう。そのため、中型自動車の運転免許をいち早く取得するためには、車両の特性を踏まえた運転、安全確認、操作をする必要があるということです。
タイヤが前後左右の4箇所に付いている乗り物という点では、普通車も中型自動車も同じです。しかし、特性が異なる乗り物であるため、中型自動車を運転する際は、乗用車の延長線上の四輪車という認識ではなく、別の乗り物として考えておく必要があるといえるでしょう。