警察庁、経済産業省、国土交通省、環境省を関係省庁とする「エコドライブ普及連絡会」が策定した「エコドライブ10のすすめ」というものがあります。本記事では、「エコドライブ10のすすめ」の内容を紹介するとともに、どのような方法でエコドライブをすればよいのかについて解説します。
目次
国が推奨する「エコドライブ10のすすめ」とは?
国が推奨するエコドライブ10のすすめとは、燃料消費量やCO2排出量を減らし、地球温暖化防止につなげる”運転技術”や”心がけ”のことです。エコドライブは地球環境だけでなく、お財布にも優しく、一緒に乗っている人も安心する運転でもあります。さらに特別な講習や教習などを受ける必要がなく、意識するだけで誰でもエコドライブを始めることができます。
では、具体的にどのような内容で、どのようなアクションをすればよいのでしょうか。
1.自分の燃費を把握しよう
エコドライブを実践する上で大切なのは、現在の燃費を確認し、エコドライブによって、どれほど燃費が良くなったのか客観的に知ることです。
燃費というのは、1Lのガソリンで何km走れたかを数値で表したものです。
燃料1Lで走れる距離を伸ばすことができれば、エコドライブができているということになります。燃費を知る方法は車に搭載されている燃費計を使用する方法の他に、「満タン法」という方法があります。
満タン法によって燃費を確認する方法は次のとおりです。
- 燃料を満タンにしたときにトリップメーターをリセットし、表示を0にする
- 運転をする
- 燃料を給油するときに、走行した距離(トリップメーターの数字)をメモしておき、燃料を給油し再びトリップメーターをゼロにする
- 給油時にメモした距離から給油した燃料の量を元に燃費を算出する
- 計算式:走行距離(給油時のトリップメーターの距離)÷給油量(給油したときの燃料の量)
- 例:燃料を満タンにし、350kmを走行した後、20Lの燃料を給油した場合は、350km ÷ 20L = 17.5km/Lとなる。(1Lの燃料で17.5km走れた)
上記のように燃費を算出する方法が満タン法です。エコドライブをする前とエコドライブをしたあとで比較することで、エコドライブができているか確認することができます。
もし燃費が悪化した場合は、運転方法以外の部分に原因がある可能性があります。このあと解説する内容に運転方法以外の対策もあるため、あわせてご覧ください。
2.ふんわりアクセル「eスタート」
このようなことを聞くとゆっくり、じわじわ動き出すことをイメージされる方も多いのではないでしょうか。しかし、「燃費がいい運転=ゆっくり」は間違いで、一番燃料効率のいい発進の仕方が5秒で時速20kmです。
加速時には、強すぎず弱すぎない、ふんわりアクセルの実践が重要です。
3.車間距離にゆとりをもって加速・減速の少ない運転
車間距離が短くなってしまうと不必要な加減速が多くなって燃費が悪化するだけではなく、交通違反として取り締まられてしまうこともあります。目安としては、2秒以上の車間距離を確保することが推奨されております。
具体的な実践方法ですが、まず、走行中に道路脇の電柱や看板など、任意で目印を決めます。次に、前を走っている車がその目印を通過したら、カウントをはじめます。
注意点としては、「イチ・ニ」では2秒間の時間を確保できないため、間にゼロをいれて「ゼロイチ・ゼロニ」と数える必要があります。「ニ」の時に、自分の運転している車がその目印に到着すると約2秒間の車間距離が確保できています。
2秒以上の車間距離があれば、先読み運転がしやすいため、不必要な加減速が少なくなり、エコドライブにつながります。それだけではなく、2秒以上の車間距離によって、危険を認知したり判断したり、それに対応する操作を正しくおこなう余裕ができるので、事故になりにくいのです。車間距離は2秒以上とっておきましょう。
4.減速時は早めにアクセルを離そう
アクセルペダルを離し、エンジンブレーキがきいていると、「燃料を供給する必要はない」と車のコンピューターが判断し、燃料の供給を一時的に停止させます。(燃料カット機能)そのため燃料消費を節約することができ、燃費が改善します。
黄色や赤の信号表示が見えた時や、前方を走行する車のブレーキランプが点灯したときはアクセルペダルから足を離すタイミングです。、ブレーキペダルに足を構えるようにしましょう。
先の交通状況に応じた運転操作をすることで、エコな運転になるだけでなく、交通事故を防止することもできます。
5.エアコンの使用は適切に
オートエアコンの場合、冷房が必要な時は、A/C(エアコン)のスイッチをAUTO(オート)にし、暖房のみ必要な時は、A/C(エアコン)スイッチをオフにしましょう。
エアコンの各モードの特徴を理解しておくことがエコドライブには必要です。無理のない範囲で、使用シーンに応じて適切にモード切替をしましょう。
6.ムダなアイドリングはやめよう
アイドリングストップをすると燃料の消費を抑えることが可能です。ただし、ストップ&ゴーが多い場合は逆効果になる場合もあります。一般的に車の燃料やエネルギーは、エンジンや機器などを始動させるときに最も多く消費すると言われています。そのため、頻繁にアイドリングストップして、エンジンの再始動を繰り返すと、ムダな燃料を消費してしまう可能性が高いです。
また、頻繁にアイドリングストップとエンジンの再始動をすると、バッテリーの消耗にも繋がります。走行する場面に応じてアイドリングストップとアイドリングストップオフを上手に切り替えると、よりエコな運転になるでしょう。
7.渋滞を避けて余裕をもって出発しよう
ドライブ前のルート確認や交通情報確認など、事前準備はしっかりしておくと、時間や気持ちにゆとりが生まれ、焦らなくなります。また、余裕を持った出発によって、渋滞の影響を受けにくくなれば、燃料消費量を抑えることも可能です。
8.タイヤの空気圧から始める点検・整備
タイヤの空気圧は、燃費に影響するだけでなく、乗り心地や運転操作にも影響するため、月に1回は空気圧を確認しましょう。
タイヤの空気圧が規定値より低い場合、燃費の悪化だけでなく、加速が鈍くなったり、ゴツゴツした乗り心地になったりします。逆に、タイヤの空気圧が規定値より高い場合、跳ねるような乗り心地になったり、エンジンブレーキが効きにくくなったりします。
タイヤの空気圧は、乗り心地や運転操作にも影響するため、定期的に点検して規定値を維持するようにしましょう。
9.不要な荷物はおろそう
荷物を積みっぱなしにしていたり、空気抵抗になる装備を取り付けていたりすると、燃費が悪化するだけでなく加速が鈍くなったり、制動距離が伸びたりします。不必要な荷物は、車から降ろし、エコドライブに努めましょう。
10.走行の妨げとなる駐車はやめよう
交通量の多い道路での駐車は渋滞の原因になり、交通全体の平均走行速度が低下するため、燃費悪化にもつながります。また、駐車車両による死角が減れば、飛び出しなどの危険も減少します。
また、交通ルールにより路上への駐車や停車が禁止されている場所もあります。交通違反として取り締まられたり、周囲の交通の妨げにならないようにするため、そのような場所で駐停車は絶対にせず、コインパーキング等へ停めましょう。
【楽エコ】エコドライブは事故の発生を低減させる効果もある一石二鳥の運転方法
エコドライブは環境やお財布に優しいだけでなく、ゆとりを持った安全運転につながります。そのため、交通事故の発生を減少させる効果もあるのです。(エコドライブをすることで交通事故を51%も減少。間地,他「エコドライブ活動による燃費改善と交通事故低減」自動車技術会,2006)
ファインモータースクールでは、法定のカリキュラムに沿ってエコドライブを学べるオリジナルの教習「楽エコ教習」を提供しております。
エコドライブ、というと「難しい」や「続かない」といったイメージを持たれるかもしれません。しかしファインモータースクールの「楽エコ教習」のカリキュラムでは、そのエコドライブを楽しく、教習の中で自然に覚えることができるのです。ファインモータースクールを卒業する時には自然と安全性の高いエコドライブが身についています。
すでに免許を持っている方も「楽エコ運転」を講習で学ぶことができますよ。あなたも今からエコドライブを始め、少しずつ習慣づけていき、環境やお財布に優しい運転をマスターしてみてはいかがでしょうか。