この記事では、夜間の運転における危険性や注意点を解説します。夜間の運転で注意すべきこととは何なのか知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
夜の運転では危険の発見が遅れやすい
まず、夜の運転がなぜ危険なのか解説します。交通マナーに関することをわかりやすくまとめている「交通の方法に関する教則」では、夜間の運転について次のように記載されています。
(1)夜は視界が悪くなるため、歩行者や自転車などの発見が遅れます。また、速度の感覚が鈍り、速度超過になりやすくなるため注意しましょう。その上、夜は、過労運転をする人だけでなく、違反と知りつつも飲酒運転をしてしまう人もいます。さらに、酔っている人が歩いていることもあるため、昼間より速度を落として慎重に運転するよう心がけましょう。少しでも危険を感じたときは、まず速度を落とし、慎重に運転することが大切です。
(2)走行中には、自分の車と対向車のライトで、道路の中央付近の歩行者が見えなくなること(蒸発現象)があるため、歩行者の有無に注意しましょう。
(3)視線は、できるだけ先の方へ向け、少しでも早く前方の障害物や危険を発見できるよう努めましょう。
(4)前の車に続いて走るときは、その車のブレーキランプに注意しましょう。もし、前を走る車のブレーキランプが点灯したときは、ブレーキペダルに足を移し、必要に応じてブレーキをかけましょう。
(5)幹線道路などで長時間にわたり単調な運転を続けると、眠くなることがあります。眠気を防ぐために窓を開けて新鮮な空気を入れるのも有効な方法ですが、少しでも眠気を感じたら、安全な場所に車を止めて、休息をとりましょう。
(6)薄暮時には事故が多く発生します。事故を起こしたり巻き込まれたりしないようにするためにも、早めにライトを点灯しましょう。
(交通の方法に関する教則「夜間の走行」を元に一部編集)
「交通の方法に関する教則」には、さまざまな注意点が記載されていますが、わかりやすくまとめると次のようになります。
- 夜は危険の発見が遅れる
- 夜は周囲の状況把握がしにくくなる
- 夜は周囲から自車の発見がされにくくなる
上記3点に気をつけることが事故防止につながるといえるでしょう。
夜間の事故は多いのか?
実際に夜間の交通事故は多いのでしょうか。警察庁が公開しているデータを元に夜間の事故が多いのか、どのような事故が発生しているのか見てみましょう。
◆令和元年から令和5年の5年間における交通死亡事故の特徴
薄暮時間帯や夜間における交通死亡事故を分析した結果、以下の3点が明らかとなっています。
- 日没時刻と重なる時間帯である17時台〜19時台に最も多く発生している
- 薄暮時間帯における死亡事故は10月〜12月にかけて最も多く発生している
- 薄暮時間帯や夜間については、自動車と歩行者が衝突する事故が最も多く4割以上を占めている
(警察庁「ハイビームの上手な活用で夜間の歩行者事故防止」より一部抜粋)
このことからわかるのは、交通事故は日が沈む前後から増える傾向にあるということです。周囲の視界が徐々に悪くなる薄暮時や夜間は、日中以上に注意して運転しなければなりません。薄暮時とは、一般的に日没前後1時間をいいます。
では、薄暮時や夜間の運転では、どのようなことに気をつければ良いのでしょうか。
警察庁が公表している注意点
警察庁は、夜間の運転のポイントとして以下の3点を推奨しています。
【夜間の安全運転のポイント】
- 暗い道で対向車や先行車がいない場合ではハイビームを活用
- 交通量の多い市街地などや対向車や先行車がいる場合は、ロービームで走行(対向車が自転車の場合も確実にロービームに切り替えましょう)
- 昼間より速度を落とした運転を励行
(警察庁「ハイビームの上手な活用で夜間の歩行者事故防止」より一部抜粋)
つまり、歩行者や自転車など他の交通(道路利用者)を見つけるために、積極的にヘッドライトの上向き(ハイビーム)を活用し、対向車や先行車がいる場合には下向き(ロービーム)にする等、万が一のときに止まれるよう速度を出しすぎないようにすることも呼びかけられています。
夜の運転におけるポイントは早めの発見(認知)をする工夫!
警察庁が公表している夜間の運転における注意点にもあるように、夜間は人(歩行者)や自転車、障害物(駐車車両や落下物など)などをいち早く見つける工夫が必要となります。ヘッドライトを点灯していたとしても運転者が認知できる範囲は、ヘッドライトで照射されている部分と街灯で照らされている部分のみです。そのため、昼間よりも見える範囲が少なくなり、危険の発見が遅くなります。
なお、夜間に運転するときに点灯させるヘッドライトは、原則として上向きで使用しますが、前に先行している車がいるときや対向車がいるときなどは下向きにしなければなりません。
しかし、実際の交通社会では、交通量が多く、車やバイク、自転車や歩行者など、さまざまな交通の中で運転することから、下向きで走行することは多いです。そのため、「下向きが原則、上向きが例外」と思っている方も多いようです。
近年では、周囲が暗くなるとヘッドライトが自動で点灯するオートライトの搭載が義務化されました。しかし、オートライトの装着義務化以前の車両も多く流通しているため、注意が必要です。
“見えない”ことは“いない・何もない”ではない
夜間は昼間と比べると視野が狭くなり、人や自転車、車やバイク、障害物など、さまざまな発見が遅くなります。また、視界が狭くなり、認知できる範囲がヘッドライトで照射されている部分のみになる場面もあるでしょう。
そのため、夜間の運転では、発見が遅れやすいことや見えにくいことを前提に運転する必要があります。また、「見えない」ということは、「いない・何もない」ということではありません。
「見えない」を「見える」にするためには、ハイビームを有効に活用したり、街灯が多い場所や車道と歩道が完全に分離されている場所などを選んだりすることがポイントとなります。
また、他の車両や障害物が見えづらくなる薄暮時や夜間は、自分自身が運転する車も同じように周囲から見えづらくなっています。そのため、日が傾き始めたり、周囲の車両などが認識しづらくなる前に、早めにライトを点灯し、周囲に自車の存在を知らせる工夫が必要です。
そのため、ファインモータースクールが提供するオリジナルの教習「楽エコ教習」のカリキュラムには、「昼間点灯を習慣にする」という項目があります。上記で書かれていることを自然と教習の中で学ぶことができ、実際の交通社会で実践することもできます。
周囲の交通や状況が見えるようにする工夫や周囲の交通に自車を見せる運転で夜間の安全を確保しましょう。