第1段階の教習後に受験する修了検定について、修了検定の概要や減点細目(減点される項目)、不合格になった場合の手順を解説します。
修了検定(技能試験)とは?
修了検定(技能試験)とは、第1段階の教習をすべて履修した後に受験する運転の試験で、この試験に合格すると、つぎに仮免学科試験を受験することができます。修了検定(技能試験)と仮免学科試験の両方に合格すると、仮免許証が交付され第2段階の教習へ進みます。
つまり、修了検定は、第1段階の教習内容を理解した安全な運転や必要な運転技術を習得しているか、第2段階に進んでも問題ないか、仮免許を交付する基準を満たしているかなどを総合的にチェックする試験ということです。
なお、普通自動車第一種(普通車)の場合の合格点数は70点以上なので、点数が合格点に満たなかったり(減点超過)、試験中止事項(一発不合格)をしたりすると、不合格となります。
もし修了検定で合格点に満たなかったらどうなる?
修了検定で70点未満となった場合は、補修(1時限)を受けた後に再度受験します。補修では、修了検定の最後に技能検定員(試験官)からの助言をもとに、苦手な部分を特訓したり、基本的な運転操作や安全を意識した運転ができるか確認します。
修了検定の減点項目|採点方法や減点される項目について
修了検定は、乗車から下車までのすべてが採点範囲です。
つまり、車に乗車し、発進準備をして、発着点から発進して指定されたコースを走行し、発着点に戻り、駐車措置をしてエンジンを切って降車するところまで、すべて細かく採点されるということです。そのため、乗り降りするときに周囲の安全を怠ったり、危険な状況にも関わらず乗り降りしてしまったりすると減点となります。
採点方法は、減点方式です。最初の持ち点は100点で、乗車から下車するまでの間に減点される運転行動などをしてしまうと減点され、最終的に70点以上残っていれば合格となるのです。
修了検定を受験する人の中には、100点で合格する人もいます。修了検定を受験する際は、100点合格を目指して安全でスムーズな運転を心がけてみてください。
どのようなことをすると減点される?
修了検定をはじめとする検定試験は、減点方式により採点される運転の試験なので、「減点細目」と呼ばれる減点の対象項目があります。技能検定員は、減点細目をすべて覚えており、走行したときの交通状況と運転者(受験者)が行った運転行動を総合的に判断して採点しているのです。
修了検定の減点細目は、5点減点、10点減点、20点減点、危険行為(試験中止)の4つに分類されています。また、1回目は減点されず、2回目に最初の減点分も加算して減点する「特別減点」と呼ばれる項目もあるため、採点方法は複雑です。
数ある減点細目の中でも試験が中止となる「危険行為」は1回で試験不合格となる項目です。つまり、1度でも危険行為をしてしまうと、その場で持ち点がなくなり試験が中止となります。
危険行為(試験中止)となる項目は次のとおりです。
- 逆行大
- 発進不能(4回・信号・停止・発進)
- 到達不能
- 区間超過
- 暴走
- 転倒
- 通過不能(4回・台・連・波・狭)
- 脱輪大
- 接触大
- 右側通行(区分・追越し・はみ禁・障害)
- 安全地帯等
- 後車妨害(妨害・時機)
- 信号(赤出・黄出)
- 進行妨害(左方・優先路・広路・右折・一停)
- 横断等禁止
- 一時不停止
- 安全間隔(間隔・徐行)
- 踏切不停止(手前・立入・内)
- 追越し
- 割込み
- 安全義務
- 減点超過
- 試験官補助(ブレーキ・ハンドル・指示・装置)
- 指示違反
(警察庁「運転免許技能試験に係る採点基準の運用の標準について(通達)」より)
危険行為とみなされる試験中止項目を見てみると、一般的に交通違反や交通事故と言われる行為が多いです。このことからも、交通違反や交通事故は試験中止項目に該当すると覚えておくと理解しやすいでしょう。
その他の主な減点細目は次のとおりです。
【20点減点】
- 逆行(中)
- 側方間隔(移・可・不・前)
- 脱輪(中)
- 接触(小)
- 徐行(右左折・優先路・広路・標識・見通・角・頂・坂)
- 進入禁止(交差・横歩・標示・黄信号)
- 合図車妨害
- 速度超過
【10点減点】
- 不確認(発進・後退・周囲・巻き込み・変更・交差点・後方・踏切・脇見・降車・振出)
- 変更禁止(みだり・標示)
- 優先判断(左方・優先路・広路・右折・一停)
- 警音器
- 急ブレーキ
- 車間距離
- 警報
- 逆行(小)
【5点減点】
- 措置(ドア・鏡・ギア・手B・B・A変速・機具・スタンド)
- 四輪姿勢(席・正対・保持・腕・上体・足)
- エンブレ(坂)
- クリープ
- 狭路切り返し(曲線・屈折・方向変換・隘路・路端)
- 停止位置(線・前・後)
- 巻き込み(二輪・離)
- 脱輪(小)
- 踏切内変速
- 駐停車方法(離・平行)
これらを覚える必要はありませんが、このような減点項目があり、何点減点されるのか知っておくと、修了検定で気をつけるべきことがわかるでしょう。
修了検定に合格するためのコツ
修了検定は基本的な運転操作や運転技術ができ、安全な運転ができれば合格できます。また、減点細目や危険行為とみなされる運転行動を知ることで、修了検定の受験時や免許取得後にどのようなことに注意すればよいのか理解することができるでしょう。
加えて、試験対策として減点される項目を知っておくのも大切ですが、減点または試験中止となる項目は、免許取得後の交通違反や交通事故に関連する内容なので、何をすると交通違反や交通事故になるのかというヒントにもなります。免許取得後のことまで考えて、減点細目や中止事項などはあらかじめ知っておくとよいでしょう。
修了検定は一夜漬けで何とかなるものではない
修了検定は、第1段階の目標に沿った運転ができているか、基本的な運転操作や運転技術を取得しているかなどをチェックする試験です。運転の基礎となる基本操作や運転技術も大切ですが、それ以上に重要なのは、安全運転ができているかです。車を安全に操作できるかはもちろん、事故を誘発させてしまう危険な運転をしていないかという点も修了検定で確認しています。
一言でいえば、安全に対する意識を持ち、周囲の安全に配慮しながら、自車を安全に運転できるかを確認する最初の試験が修了検定ということです。加えて、第2段階の教習、つまり路上を運転させても問題ないかという点も技能検定員は見ています。
修了検定直前の教習で総復習して何とかしようとしても限界があるので、日々の教習でしっかりと操作や技術を積み重ねていくことが修了検定合格の近道といえるでしょう。
基本操作と運転技術と安全運転が採点される修了検定
修了検定は、自動車の基本操作と基礎的な運転技術と安全な運転を採点する試験です。緊張したり、試験中止項目を恐れたりすることがあるかもしれませんが、基本操作・基本的な運転・自車だけでなく他車も危険な状況にならない安全運転ができれば合格できます。
また、修了検定のときに不安になったりしないためにも、教習中に不明点や疑問点は遠慮なく教習指導員に質問し、その場で解決しておくことが大切です。
教習指導員に質問したり基本的なことを聞いたりするのは勇気がいるかもしれませんが、実際に質問すると丁寧に回答してくれます。修了検定で不安にならないためにも教習中に積極的に質問をして、不安や疑問をその場で解決し、わからないことがない状態で修了検定に臨みましょう。