車を日常的に使う人にとって、ガソリン代は気になる出費のひとつ。特に物価や燃料価格が上昇している今、なるべくムダなく走りたいと感じている方も多いのではないでしょうか。そんなときに意識したいのが「エコドライブ」。ちょっとした運転の心がけで、ガソリン代の節約はもちろん、環境にもやさしくなり、運転もより快適になります。
目次
エコドライブの実践でどれくらい節約できる?
エコドライブとは、燃費の向上や環境への配慮を意識した運転スタイルのことです。たとえば発進・停止のしかたや、エアコンの使い方などを少し変えるだけで、意外と大きな違いが出てきます。
環境省によると、エコドライブを実践することによって、およそ10%の燃費が向上するとされています。※1燃費がおよそ10%向上すると、どんなメリットがあるのでしょうか。
まず、国土交通省によるとガソリン乗用車の燃費平均値は、19.8km/hとされております。※2燃費が10%向上すると、約21.8km/hの燃費となり、1リットルのガソリンで2kmほど多く走れる計算になります。
そして、ソニー損保株式会社が2024年に調査したデータによると、自家用車を所有している個人の年間平均走行距離は6972kmとされています。※3
それらのデータをもとに考えると、自家用車を所有している個人を一般ドライバーとし、一般ドライバーは年間352リットルのガソリンを消費していると仮定することが出来ます。
エコドライブを実施し、燃費が10%向上すると、年間で消費するガソリンの量を約320リットルにすることができ、おおよそ32リットルのガソリン消費量を減らすことができます。
資源エネルギー庁の調査によれば、2025年4月28日現在のガソリン小売価格(全国平均)がレギュラーガソリン1リットルあたり、185円とされていますので※4、エコドライブを実施すれば1年間で6000円ほどのガソリン代を節約することができます。
1年で6000円も節約することができるのですから、それが5年10年と考えると、節約できる金額は非常に多くなるでしょう。
また、年々ガソリン価格は値上がりをしておりますので、エコドライブのメリットはあるといえます。
ちなみに、ファインモータースクールでエコドライブを学んだ方の中には、燃費が平均して約20%向上したという結果も出ています。実践的な運転技術を身につけることで、より高い節約効果が期待できるのです。
※2. 国土交通省 自動車燃費一覧(令和7年3月) 2.(1)ガソリン乗用車のWLTCモード燃費平均値の推移
※3. ソニー損保株式会社 ソニー損保「2024年 全国カーライフ実態調査」【運転実態と車の維持費】
※4. 経済産業省 資源エネルギー庁 石油製品価格調査 1.給油所小売価格調査(ガソリン、軽油、灯油)
ガソリンを無駄にしない運転のポイント
エコドライブの基本は、「ガソリンを無駄に使わない」ことにあります。そのためには、走り方に少しだけ意識を向けることが必要です。
-
急発進・急加速を避ける
信号が青になった瞬間にアクセルを踏み込みすぎると、ガソリンが一気に消費されます。ふんわりとアクセルを踏むことで、燃料消費量が最適化され、燃費が改善されます。 -
一定のスピードを保つ
加減速の多い運転は、ガソリンをムダに消費する原因に。前の交通状況をよく確認し、勾配のある場所でもなるべく一定のペースで走るよう意識しましょう。 -
アイドリングを減らす
信号待ちの時間が長くなりそうなときや、駐車場での待機時には、エンジンを切るのも選択肢です。特に夏場などは難しいこともありますが、意識するだけでも違いが出ます。
燃費向上につながるアクセルワークとブレーキング
エコドライブを意識するうえで特に重要なのが、アクセルとブレーキの使い方です。
アクセル操作のポイント
-
AT車では発進時、ブレーキからアクセルへ踏みかえる際に、約1秒ほどかけてクリープ現象を利用する。
-
アクセルの踏み方は「ふんわり」と。体重計に足をのせる際に、メモリを1kgづつ増やしていくイメージで。
- 発進してから、5秒で20km/hの「ふんわりアクセル」を意識する。
ブレーキ操作のポイント
-
一般道での車間距離は前の車が通りすぎた位置に自分が到着するまでに、最低2秒以上の距離を取る。
-
エンジンブレーキを活用すると、減速もスムーズに。先にある信号機の色が青から黄色にかわったり、前の車がブレーキを踏んだ場合には、早めにアクセルを離して、足をブレーキにかまえましょう。
アクセル操作とブレーキ操作のポイントを意識するだけでも、無駄なエネルギー消費が減り、周囲の人や車にも優しい運転になります。
エアコンの使い方で燃費が変わる?効果的な設定方法
実は、エアコンの使い方次第でも燃費に大きな差が出ます。特に夏場はエアコンに頼る場面も多く、気をつけたいポイントのひとつです。
シーン | 燃費にやさしい使い方 |
---|---|
走行直後 | 窓を少し開けて一気に熱を逃がす |
冷房を使う時 | 外気導入→室内循環に切り替える(冷えやすくなる) |
オートエアコン搭載車 | AUTOを使用する。マニュアル設定よりも効率が良くなるように冷暖房を調整し、最適化してくれる |
不要なとき | ACスイッチはOFFにする(ガラスが曇った場合はONにする) |
また、夏に車を駐車する際には、サンシェードや日よけカーテンを活用することで、車内の温度が上がりすぎないようにすることができます。これだけで冷房の効率がぐんと上がり、結果的にガソリン消費量の節約につながります。
車のメンテナンスでエコドライブをさらに向上させる方法
燃費は運転技術だけでなく、車の状態にも大きく左右されます。日頃の点検やメンテナンスを行うことで、エコドライブの効果をさらに引き出すことができます。
チェックしたい項目
-
タイヤの空気圧:空気圧が低いと路面との摩擦抵抗が大きくなり、燃費が悪化
-
エンジンオイルの交換:古いオイルは、エンジン内の潤滑性能が低下し、エンジン内部の抵抗が増えるため、燃費が悪化
-
エアフィルターの掃除や交換:エンジンがガソリンを燃焼させるために、必要な空気を十分に取り込めないと、燃焼効率が低下して燃費が悪化
-
不要な荷物を積まない:必要のない荷物は車両自体の重量が増え、燃費が悪化
このようなメンテナンスは、車の寿命を延ばす意味でも大切です。自分でチェックすることが難しい項目でも、ガソリンスタンドや整備工場でチェックしてもらうこともできます。
まとめ
エコドライブは、無理をすることなく日常の運転の中で取り入れられる、小さな気配りの積み重ねです。燃費が良くなるだけでなく、運転自体の安全性が高くなり、ガソリン代の節約や、環境にもやさしくなるなど、いいことづくし。ちょっとした意識の変化が、今後運転をしていく上で大きな節約につながっているかもしれません。