中型免許
中型免許(中免)で運転できる車種には、マイクロバスや中小トラックなどがあります。近年、活躍の場が広がりニーズが増えていることをご存知でしょうか?
中型免許を取得することで仕事の幅は大きく広がります。オンラインショッピングの普及が加速している昨今、配送業の人員不足が懸念されているため、トラックの運転スキルは配送業務に多大な貢献をもたらします。また、高齢化が進む中でマイクロバスによる送迎業務は今後なくてはならない仕事の1つとなるでしょう。
本記事では、中型免許を取得することで得られるメリットや、取得の条件と方法を詳しく解説します。今後、中型免許を活かした仕事を目指す方や、ライフスタイルの幅を広げたい方はぜひチェックしてください。
中型免許とは
中型免許は、従来の「普通自動車」と「大型自動車」の区分の間に加わりました。背景として、貨物自動車などの大型自動車の事故防止を図るために、2004年の道路交通法で一部改正され、2007年6月に新たな免許制度として施行されました。
施行日までに普通免許を取得済みの方は、注釈として車両総重量が8t 未満であれば運転可能ですが、施行日以降に取得した普通免許では運転できません。(ただし、施行日以降の普通免許でも取得から2年経過していれば、中型免許の受験が可能)
現在、各免許で運転できる条件を以下に表でまとめています。
普通免許 | 準中型免許 | 中型免許 | 大型免許 | |
車両総重量 | 3.5t 未満 | 3.5t 〜7.5t 未満 | 7.5t 〜11t 未満 | 11t 以上 |
最大積載量 | 2t 未満 | 2t 〜4.5t 未満 | 4.5t 〜6.5t 未満 | 6.5t 以上 |
乗車定員 | 10人以下 | 10人以下 | 11〜29人以下 | 30人以上 |
※2017年3月に施行された道路交通法により、改正前に取得した普通免許では車両総重量5t 未満、最大積載量3t 未満、乗車定員10人以下の自動車を運転できます。
中型免許を取るメリット
中型免許を取るメリットとして1番に挙げられるのは仕事の幅が広がることです。
現在、中型免許で運転可能な車両はワゴン、マイクロバス(小型バス)、1〜6t トラックで、短〜中距離はもちろん、長距離輸送も検討されています。
代表的な中型自動車である4t、6t トラックは、ゴミ収集車や消防車などが該当する他、運送、食品、建設業界などさまざまな場面で活躍しています。
また、乗車人数が29人以下であれば走行できるため、観光業界や介護サービスなどで需要が高まっているマイクロバスのドライバーになれることも大きなメリットと言えるでしょう。
準中型免許〜大型免許では、ハローワークで教育訓練給付金を受け取れる制度も存在します。教育訓練給付金とは各免許を生業とする場合、教習費用(入学金や受講料)のうち20%(最大10万円)が支給されるキャリア形成支援制度です。うまく活用することでメリットを最大限に活かすことができます。
中型免許の取得条件
中型免許の取得には以下のうち、いずれかを満たしていることが条件となります。
- 普通免許、準中型免許、大型特殊免許を保有している場合
免許停止期間を除いて、免許取得から2年以上が経過していること。
- 8t 限定中型免許を保有している場合
限定解除試験に合格すること。
また、中型免許における身体的な取得条件もクリアする必要があります。
- 年齢:満20歳以上
- 視力:両眼で0.8以上、片眼で0.5以上(眼鏡やコンタクトレンズの使用可)
深視力検査で誤差が平均2cm以下であること(測定3回連続)。
色彩識別能力で赤青黄(交通信号機の色)を識別できること。
- 聴力:10mの距離で90dpの警告音が聞こえること。(補聴器の使用可)
- 運動能力:自動車の運転に影響を及ぼす恐れのある身体障害がないこと。
中型免許の取得方法
中型免許の取得方法は現在保有している免許によって異なりますが、自動車教習所で教習を受けるのが一般的です。その他、教習所合宿で短期的に取得したり、一発試験で受験する方法もあります。
ここでは、普通免許と8t 限定中型免許を持っている場合でそれぞれ解説していきます。試験に必要なステップを把握して、ご自身の状況に合った取得方法を検討しましょう。
普通免許を持っている場合
2007年6月以降に普通免許を取得した方は、中型免許の取得方法として以下が挙げられます。
- 指定自動車教習所に通い、中型免許の技能卒業検定を受ける
- 届出自動車教習所に通い、運転免許試験場で技能試験を受ける
- どこにも通わずに運転免許試験場で試験を受ける(一発試験)
指定自動車教習所(指定校)と届出自動車教習所(届出校)では、それぞれにメリットがあります。指定校では本免技能試験に合格した場合、運転免許試験場での実地試験は免除されますが、届出校では免除はありません。一方で、費用を比べると指定校よりも届出校の方が安い傾向にあります。届出校はその分、試験の度に運転免許試験場に行く必要があるため注意が必要です。
一発試験では、教習所には通わず学科と技能の両試験を受けることになります。
既に運送業者などで働かれていて、中型車を運転する環境が整っている方には人気の受験方法です。普通車以上に高度なスキルが求められる上に、4t や6t トラックになると運転の難易度は格段に上がります。
8t 限定中型免許を持っている場合
2007年6月以前に普通免許を取得した方は、車両総重量8t 未満の車を運転できる旧普通免許に該当するため、「中型8t 限定解除」の試験を受けることで中型免許に昇級できます。限定解除方法として以下が挙げられます。
- 指定自動車教習所に通い、技能審査に合格した後、運転免許試験場で免許変更の手続きを行う。
- 運転免許試験場で中型免許に関する技能審査に合格する(一発試験)
指定校に通う場合でも教習時間は短く、技能教習のみなので、時間が取れない方にも安心して受講可能です。
一発試験で限定解除する場合、場内コースを用いて4t 車でS字カーブなどの技能試験を行いますが、合格率は2〜3割程度と低いのが現状です。
中型免許を教習所で取得するなら
中型免許を取得するためには、教習所に通う方法が一般的です。ご自身の免許取得状況に合わせてコースと内容を確認しましょう。
中型免許の教習コース
中型免許取得の最も一般的なコースは、指定自動車教習所(指定校)を卒業して技能卒業検定を受験する方法です。2007年6月以降に普通免許を取得した方、これから取得を目指す方が該当します。
指定校には練習用コースや実際に中型車を試運転できる環境が備わっています。普通免許を持っている場合も、教習所で教習を受けてから試験に臨むことになります。中型車8t 限定解除に比べると、技能教習に加えて学科教習も受ける必要があり、AT免許の場合はさらに4時限ほど追加で教習があるため、費用と合わせて確認しておきましょう。
中型車8t 限定解除コース
中型車8t 限定解除の一般的なコースも、指定校を受講し技能試験を受ける方法です。2007年6月以前に普通免許を取得した方が該当します。
通常の中型免許を取得するコースとは異なり、学科教習がないため短期間で終了することが多いです。複数回の技能教習で総合的な技能試験の合格を目指します。
まとめ
中型免許を取得することで、普通免許では運転できない車両に挑戦でき、ドライバーとして活躍の場が格段に広がることをご紹介しました。6t トラックやマイクロバスが運転可能になれば運送業界はもちろん、観光業界や介護サービスなど更なるニーズが期待できるでしょう。
中型免許は大型免許に比べると取得費用を抑えられたり、運転スキルも比較的習得しやすい資格です。仕事の幅を広げるためにも、これを機に運転技術を磨いてみましょう。